昨今、業界を問わずあらゆる要素がデジタル化されていく「Society5.0※」に向けて、データ(情報)とデジタル技術を活用し、ビジネスモデルを抜本的に変革して新たな成長を実現する企業が現れています。
単にデジタル化(ITの活用)するだけではなく、「データ(情報)+デジタル技術の活用→ビジネスモデルを抜本的に変革」することが従来のビジネスの成長と異なる点になります。
しかし、ビジネスモデルの改革の本質は、ビジネスの付加価値向上や新規ビジネスの創出です。
※Society 5.0 – 科学技術政策 – 内閣府 (cao.go.jp)
データ(情報)とデジタル技術を活用してビジネスの競争上の優位性を確立することを「DX(デジタルフォーメーション)」といいます。
ここで気をつける点があります。
DXを取り組む際のよくある勘違い
単にデジタル化(ITの活用)をすること=DXではありません。
経済産業省が公表している「デジタルガバナンス・コード2.0」において、DXは次のように定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
デジタルガバナンス・コード2.0より抜粋
競争上の優位性を確立するためには、持続的な企業価値の向上を図る必要があります。
持続的な価値を向上させる4つのポイント
DXによる企業価値の向上には、次の4点が重要になります。
- ITシステムとビジネスは一体的なものと考え、新たな価値創造に向けてビジネスがどのような方向に進むべきかの指針を描く
- デジタル技術(ITシステムなど)を効率化・省力化を目指した改善にとどめず、新たな収益につながる既存ビジネスの付加価値向上や新規ビジネスの創出に振り向ける
- ビジネスを持続させるため、ITシステムが足かせ(技術的な負債)となることを防ぎ、計画的にパフォーマンス向上を図っていく
- 1~3の必要な改革を行うため、会社のすべての組織を横断して取り組む
これらの取り組みには、「企業全体の組織構造、文化の改革」および「中長期的な投資」が不可欠であることから、経営者の関与が不可欠です。
特定の部署(ITは、ITは部門。業務は、事業部門と機能別の部署)だけで取り組みを行ってもDXの実現はできません。
日本でのDXの現状
日本の企業では、本格的なDXの取り組みが遅れており、従来のITシステムが足かせになっている企業やそもそも変革の取り組みの準備の段階でつまづいている企業も多いです。
また、企業のDX推進を行う能力を「無形の資産」として捉え、経営者とステークホルダーとのコミュニケーションも十分に行われているとは言えません。
これは、上場・非上場、大企業・中小企業といった企業規模、法人・個人事業主などの形態を問わずすべての事業者が対象です。
また、経営者がコミュニケーションするステークホルダーは、単に取引先だけでなく、事業に関わるすべての関係者を指します。
投資家、金融機関、パートナー会社、自社社員、地域社会などを含みます。
DX推進の一歩
DXの推進には、前項で説明したとおり、経営者の関与が必須になります。そのため、まずは経営者がDXの必要性を認識する必要があります。
データ(情報)やデジタル技術を使わなくても既存ビジネスの付加価値を向上させたり、新たにビジネスを創出することは不可能ではないと思います。
しかし、競合他社がデータ(情報)やデジタル技術を活用して競争上の優位性を確立した状態で、競争に打ち勝ち持続的な企業価値を向上させることができるでしょうか。
残念ながら、デジタル化の流れを変えることは不可能であり、さらにデジタル技術の活用が進むことは避けられません。
経営者は、まず自身のビジネスを持続させるためには、データ(情報)とデジタル技術を活用した取り組みの必要性を認識し、DXの取り組みを行うことの宣言を社内に対して行いましょう。
もちろん、単に「DXをやる」と言うだけでなく、自社のビジネスがどのような方向に進むべきかの指針を示す必要があります。
進むべき指針(戦略)の策定方法については、次回の記事で説明します。
具体的な内容については、下記のリンク先からお問い合わせください。
まとめ
- データ(情報)とデジタル技術を活用して、新たな成長を実現する企業が現れている。
- 競争に打ち勝ち、ビジネスを持続させるためには、データ(情報)とデジタル技術の活用は避けられない流れとなっている。
- DXによる企業価値の向上には、「企業全体の組織構造、文化の改革」および「中長期的な投資」が不可欠である。
- DXを推進するためには、経営者の関与が必須である。