小規模事業者の8割は
小規模事業者の8割は、すでに誰かに相談している
2025年版の中小企業白書によると、小規模事業者の76.6%は、商工会議所や税理士などの支援機関を活用しています。しかも、支援機関を活用して経営計画を作った事業者の68.8%が「想定した効果が得られた」、8.1%が「想定を超える効果が得られた」と答えていて、合わせて8割近くが効果を実感しています(中小企業庁調査室「2025年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要」P.42)。相談すれば効く。それは数字が示しています。
ところが同じページに、支援機関が事業者から最も多く相談される課題の内訳があり、1位が「資金繰り改善」34.1%、2位が「販路の強化・開拓」28.9%、3位が「人材確保・人材育成」9.3%。「省力化・生産性向上」、つまりITや業務の相談を最多と答えた支援機関は4.7%でした。お金と販路は、誰に聞くかが決まっている。ITと業務は、決まっていない。だから相談として形にならず、社長の中で迷いのまま残ります。上の早見表で診断士の行が多いのは、その空白を埋める役割だからです。
支援機関の側にも事情があります。同じ白書のページによると、支援機関の53.4%で相談員が「不足」しており、地方圏では60.2%に上ります。相談の受け皿は、人手が足りない状態で回っている。だから、白紙で持ち込むより、上に書いた「1行」にして持ち込むほうが、相手も動きやすく、答えも早く返ってきます。
診断士は「専門外」が少ない代わりに
診断士は「専門外」が少ない代わりに、深さは専門家に負ける
中小企業診断士は、経営・財務・法務・IT・マーケティングを一通り学んで試験に通っている資格です。だから「専門外です」と言うことが少ない。その代わり、税金の細かい判断は税理士、労務の判断は社労士に敵いません。
使い方としては、「まず診断士に投げて、必要なら専門家につないでもらう」が一番早いです。社長が「誰に聞くか」を考える時間がなくなります。診断士の側は、税務なら税理士へ、労務なら社労士へ、揉めたら弁護士へ、と切り分けて渡す。切り分けができていれば、専門家への依頼は短く正確になり、費用も抑えられます。
「認定支援機関」という言葉が出てきたら
早見表の「補助金・計画書」の行に「認定支援機関」とあります。正式には「認定経営革新等支援機関」で、中小企業等経営強化法に基づき、専門知識や実務経験が一定レベル以上の者として国が認定した支援機関です。商工会議所、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士などが主な認定支援機関で、診断士も認定を受けることができます(中小企業基盤整備機構「認定経営革新等支援機関による支援」)。
この認定があると使える制度があります。代表的なのが、認定支援機関に経営改善計画の策定を頼む場合に、費用の3分の2(上限80万円)を中小企業活性化協議会が負担する「早期経営改善計画策定支援」です。銀行から計画書を求められたときに使えます。当事務所はこの認定を受けています。
顧問の先生と診断士は重なりません
税理士の先生とは役割が違うので、取り合いになりません。むしろ「銀行向けの計画書は診断士と作って、数字は税理士に見てもらう」のように、組み合わせると社長が楽になります。決算書は過去の記録で税理士の仕事、計画書はこれからの話で社長と診断士の仕事。この分担は「銀行に出す計画書は、税理士の決算書と何が違うのか」に書きました。
私自身のことを書いておくと、中小企業診断士のほかに金融内部監査士の資格を持ち、認定経営革新等支援機関でもあります。独立前は生命保険会社のIT企画部門に12年いて、業務の要件をまとめてIT業者に発注する側でした。早見表で「IT寄り」と書いた行は、この経験で見ています。売る製品は持っていないので、「入れないほうがいい」も言えます。
相談に来るときの、たった1つのお願い
「誰に聞けばいいか分からない」相談は、白紙で来てもらって構いません。ただ、上に書いた「1行」だけは、できれば持ってきてください。それがあると、誰に何を頼むかの切り分けが、30分で終わります。なければ、その1行を作るところから始めます。それも私の仕事です。
読了目安 8分(2026年9月 全面改訂)
「これ、誰に聞けばいいんだろう」。社長が一番時間を使っているのは、実はこの迷いです。顧問の先生に聞いて「専門外です」と言われると、次に聞く相手が分からなくなる。10人の会社でよくある相談を、聞く相手ごとに整理しました。表のあとに、なぜ迷いが生まれるのかを、中小企業白書の数字で書きます。
早見表
| 相談ごと | 聞く相手 | ひとこと |
|---|---|---|
| 税金・決算・節税 | 税理士(数字の正しさ) | 数字の正しさはここ |
| 社員の雇用・就業規則・残業 | 社労士(人の問題) | 人の問題はここ |
| 契約書・トラブル・債権回収 | 弁護士(揉めたら/揉める前に) | 揉めたら/揉める前に |
| 会社の登記・許認可 | 司法書士・行政書士(手続き) | 手続きの専門家 |
| IT業者の見積もりが妥当か | 診断士(IT寄り)(発注側の目で読む) | 発注する側の目で読む |
| 補助金が使えるか・計画書 | 診断士・認定支援機関(制度と計画) | 制度と計画はここ |
| ChatGPTを社内でどう使うか | 診断士(IT寄り)(ルールと業務) | ルールと業務の両方を見る |
| 業務が属人化している | 診断士(業務の整理) | 業務の整理は診断士の本業 |
| 売上を増やしたい・値上げしたい | 診断士(経営全般) | 経営全般の相談役 |
表の使い方を一つ。相談ごとを「1行」にしてから表を引いてください。「会計ソフトを替えたい」ではなく「税理士に渡す資料に毎月3時間かかっている」。「人が定着しない」ではなく「今年2人辞めて、採用に80万円かかった」。「値上げしたい」ではなく「仕入が2割上がったのに単価は3年据え置き」。時間か金額で1行にすると、表のどの行かが自然に決まります。決まらなければ、それは診断士の行です。
小規模事業者の8割は
小規模事業者の8割は、すでに誰かに相談している
2025年版の中小企業白書によると、小規模事業者の76.6%は、商工会議所や税理士などの支援機関を活用しています。しかも、支援機関を活用して経営計画を作った事業者の68.8%が「想定した効果が得られた」、8.1%が「想定を超える効果が得られた」と答えていて、合わせて8割近くが効果を実感しています(中小企業庁調査室「2025年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要」P.42)。相談すれば効く。それは数字が示しています。
ところが同じページに、支援機関が事業者から最も多く相談される課題の内訳があり、1位が「資金繰り改善」34.1%、2位が「販路の強化・開拓」28.9%、3位が「人材確保・人材育成」9.3%。「省力化・生産性向上」、つまりITや業務の相談を最多と答えた支援機関は4.7%でした。お金と販路は、誰に聞くかが決まっている。ITと業務は、決まっていない。だから相談として形にならず、社長の中で迷いのまま残ります。上の早見表で診断士の行が多いのは、その空白を埋める役割だからです。
支援機関の側にも事情があります。同じ白書のページによると、支援機関の53.4%で相談員が「不足」しており、地方圏では60.2%に上ります。相談の受け皿は、人手が足りない状態で回っている。だから、白紙で持ち込むより、上に書いた「1行」にして持ち込むほうが、相手も動きやすく、答えも早く返ってきます。
診断士は「専門外」が少ない代わりに
診断士は「専門外」が少ない代わりに、深さは専門家に負ける
中小企業診断士は、経営・財務・法務・IT・マーケティングを一通り学んで試験に通っている資格です。だから「専門外です」と言うことが少ない。その代わり、税金の細かい判断は税理士、労務の判断は社労士に敵いません。
使い方としては、「まず診断士に投げて、必要なら専門家につないでもらう」が一番早いです。社長が「誰に聞くか」を考える時間がなくなります。診断士の側は、税務なら税理士へ、労務なら社労士へ、揉めたら弁護士へ、と切り分けて渡す。切り分けができていれば、専門家への依頼は短く正確になり、費用も抑えられます。
「認定支援機関」という言葉が出てきたら
早見表の「補助金・計画書」の行に「認定支援機関」とあります。正式には「認定経営革新等支援機関」で、中小企業等経営強化法に基づき、専門知識や実務経験が一定レベル以上の者として国が認定した支援機関です。商工会議所、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士などが主な認定支援機関で、診断士も認定を受けることができます(中小企業基盤整備機構「認定経営革新等支援機関による支援」)。
この認定があると使える制度があります。代表的なのが、認定支援機関に経営改善計画の策定を頼む場合に、費用の3分の2(上限80万円)を中小企業活性化協議会が負担する「早期経営改善計画策定支援」です。銀行から計画書を求められたときに使えます。当事務所はこの認定を受けています。
顧問の先生と診断士は重なりません
税理士の先生とは役割が違うので、取り合いになりません。むしろ「銀行向けの計画書は診断士と作って、数字は税理士に見てもらう」のように、組み合わせると社長が楽になります。決算書は過去の記録で税理士の仕事、計画書はこれからの話で社長と診断士の仕事。この分担は「銀行に出す計画書は、税理士の決算書と何が違うのか」に書きました。
私自身のことを書いておくと、中小企業診断士のほかに金融内部監査士の資格を持ち、認定経営革新等支援機関でもあります。独立前は生命保険会社のIT企画部門に12年いて、業務の要件をまとめてIT業者に発注する側でした。早見表で「IT寄り」と書いた行は、この経験で見ています。売る製品は持っていないので、「入れないほうがいい」も言えます。
相談に来るときの、たった1つのお願い
「誰に聞けばいいか分からない」相談は、白紙で来てもらって構いません。ただ、上に書いた「1行」だけは、できれば持ってきてください。それがあると、誰に何を頼むかの切り分けが、30分で終わります。なければ、その1行を作るところから始めます。それも私の仕事です。
